Research

研究

研究テーマ

発生学やゲノム学の観点から比較解析をおこない,分子生物学的な実験により検証することによって,生物の多様性・進化に関する基礎研究をおこなっています。
脊椎動物の系統関係について
脊椎動物は約5万種いるとされ,そのうち半分の約2万5千種が魚類であるとされています。魚類は,あらゆる水圏に適応放散し,生態学的にも形態学的にも多様化しています。進化の歴史を考えると,まず顎をもたない「無顎類(円口類)」から顎をもつ「顎口類」へと進化し,顎口類は軟骨性の骨格をもつ「軟骨魚類」と骨性の骨格をもつ「硬骨魚類」とに分かれました。硬骨魚類はさらに,鰭条の鰭をもつ「条鰭類」と肉質の鰭をもつ「肉鰭類」とに分かれました。肉鰭類にはシーラカンスやハイギョが含まれ,このグループから脊椎動物は陸上進出を遂げ,「四足類」へと進化しました。一方,条鰭類は,遊泳機構や採餌機構をさらに発達させ,一般的に魚と呼ばれる「真骨類」へと発展を遂げました。
動物進化発生学研究室では,
硬骨魚類の小進化/大進化に関連した進化発生学的な研究をおこなっています。

小進化を対象とした研究

真骨類は生息環境に適応し,とりわけ頭部の骨格形態が多様化しています。この多様化は,個々の骨格要素の形やサイズあるいは空間的配置の違いによって基因します。個々の骨格要素は,発生過程において,遺伝子発現が時間的・空間的に複雑に制御され,さまざまな細胞が移動したり分化し,形成されます。設計図であるゲノム情報は生き物によって異なり,遺伝子発現の制御の仕方が変化し,形態の多様化が引き起こされていると考えられます。
爆発的な種分化をおこしたことで知られる,東アフリカの湖に生息するシクリッドをモデルに,それらの祖先にあたる河川産シクリッドのナイルティラピアを使った実験系の構築をおこなっています。

大進化を対象とした研究

ポリプテルスは,条鰭類に分類されるものの,両生類によく似た発生を示し,鰾ではなく肺をもち,また発生初期に外鰓をもつなど,原始的な形質を示しています。研究室内で繁殖が可能なため,ポリプテルスは条鰭類と肉鰭類の分岐を解析する上で唯一の実験動物となっています。ポリプテルスの発生やゲノムを調べることによって,脊椎動物の陸上進出に関わる形態進化を研究しています。

研究室で繁殖飼育している熱帯魚

ゼブラフィッシュ

コイ目コイ科の魚で,真骨類の中ではより祖先的な古い系統に含まれます。
自然交配させることによって,比較的容易に,朝,受精卵を採卵することができます。そのため,世界中で広く実験動物として使われています。

ナイルティラピア

スズキ目カワスズメ科の魚(シクリッド)で,真骨類の中ではより派生的な新しい系統に含まれます。
ティラピアのメスは一定周期で排卵するので,排卵日の夕方,人工授精によって受精卵を得ています。

ポリプテルス

ポリプテルス目ポリプテルス科の魚で,条鰭類の中では最も祖先的な系統です。
受精卵を得るのがなかなか難しいのですが,ホルモンを注射し繁殖行動を誘発させることによって,自然交配させて得ています。

課題研究 配属希望の学生へ

まずは,気軽にメールで連絡の上,見学に来て下さい!
 
☆自然環境科学プログラムのカリキュラムに従っています。

    • 2年次「発生生物学II」「自然環境科学実験B1」,3年次「進化生物学a」「自然環境科学実験B2」「環境生物学演習」などの科目を受講しましょう。
    • 4年次「課題研究B」では,環境生物学分野の研究室の一員として,1年間研究活動をおこなうことになります。
    • 具体的な研究課題は,研究室所属が決まってから4月上旬に,相談の上,決めます。

 
☆生き物を使って,実験をおこなう研究室です。

    • 基本的に,コアタイムは平日10:00から18:00です。
    • 就職活動・アルバイトなどの状況を加味して,実験スケジュールを立てていきます。
    • サンプリングや実験などで,朝夜や土日におこなってもらう場合もあります。
    • 分子生物学の実験やインジェクションなどをおこなうので,「手先が器用であること」「長時間,集中力を持って,細かい作業ができること」「実験ノートを書き,記録をとること」などできることが必要です。

 
☆セミナーには必ず参加・発表してもらいます。

    • 研究室セミナー: 月曜にその週おこなう作業について確認し,金曜にその週おこなった作業について報告をおこなってもらうようにしています。
    • 分野セミナー: ほぼ 月1回,月曜5限にあります。4年生は 年3回発表します。

 
☆年間スケジュール:

      • -[前年度]--------------------------------------
      • 2月 配属研究室の決定
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      • 4月 分野 顔合わせ 
      • 4月 分野セミナー(所信表明)
      • 10月 分野セミナー(中間発表)
      • 1月 分野セミナー(プレ発表)
      • 2月 課題研究発表会(口頭+ポスター)
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